最終更新日:2026年08月21日
※この記事は、Shopify開発歴8年以上の株式会社SOLSTAR代表取締役・島袋隼が監修しています。
コスメECを始めるとき、「固定費がかからないQoo10と、ブランド独自のECサイトを作れるShopifyのどちらがよいか」は悩みやすい問題です。結論は、どちらか一方が常に優れているわけではありません。まだブランドの知名度が低く、まず商品の反応を確かめたい段階ではQoo10がおすすめです。自社ECサイトへ集客でき、Qoo10より販売・決済手数料を抑えたい段階ではShopifyがおすすめです。本記事では、Qoo10の通常販売とメガ割の費用を分け、Shopifyの料金、月商別の試算、粗利やブランドの知名度に応じた判断基準まで整理します。費用だけでなく「その売上をどう作るか」まで見れば、事業に合う進め方を選びやすくなります。
この記事でわかること
- Qoo10とShopifyのECの仕組みと集客方法の違い
- Qoo10の通常販売・メガ割とShopify Paymentsを含む費用
- 月商10万〜500万円で見たQoo10・Shopifyにかかる費用
- コスメブランドの知名度や粗利に応じた選び方
- 販売手数料と集客方法を軸にしたQoo10・Shopifyの併用方法
目次
1. Qoo10は集客のあるモール型EC、Shopifyは販売手数料を抑えやすい自社ECサイト

Qoo10はeBay Japan合同会社が運営するモール型ECです。すでに買い物客が集まる場所へ出店し、検索、ランキング、レビュー、セールを通じて商品を見つけてもらいます。Shopifyは、独自ドメインで自社ECサイトを作り、自社で集客・販売するためのECサービスです。Qoo10より販売・決済手数料を抑えやすい一方、ECサイトの制作と集客は自社で行います。
まだブランドの知名度が低く、需要を確かめたい段階ではQoo10がおすすめ
まだあまり知られていないコスメでも、Qoo10なら検索結果やセール企画を通じて商品を知ってもらえます。固定費を抑えて売れ筋を確かめたい事業者に向いています。ただし、出店後も、商品情報の更新、在庫管理、受注処理、梱包・発送、問い合わせや返品への対応など、一般的なEC運営業務は必要です。
販売・決済手数料を抑えたいならShopifyがおすすめ
ShopifyでShopify Paymentsを利用する場合、Basicの標準国内カード手数料は3.55%です。Qoo10のビューティー・コスメ主要カテゴリーの販売手数料10%と比べると、1件の注文にかかる販売・決済手数料を抑えやすい点が、自社ECサイトの大きなメリットです。販売数が増えるほど、この料率差は利益に影響します。ただし、Shopifyには月額プラン料金がかかり、広告費、制作費、運用費も別に必要です。手数料だけでなく、総費用と利益を合わせて比べましょう。
一方、Qoo10のように、モール型EC内で商品を探す人に自然に見つけてもらえるわけではありません。広告、SNS、SEO、広報などでアクセスを集めます。詳しくはShopifyとは何かを解説した記事も参考にしてください。
比較表では販売・決済手数料と集客費を先に見る
| 比較項目 | Qoo10 | Shopify |
|---|---|---|
| 仕組み | モール型ECへ出店 | 自社ECサイトを構築 |
| 初期・月額費用 | 0円 | 月額プラン料金 |
| 販売・決済手数料 | カテゴリー別6〜10%(コスメ主要カテゴリーは10%)。決済を含む | Shopify Paymentsなら3.55%(Basic・標準国内カード) |
| 集客 | 検索、ランキング、レビュー、販促 | 広告、SNS、SEO、広報 |
| ブランド表現 | モール型EC共通の画面内 | 独自ドメインやテーマで設計 |
| 顧客リスト・直接販売 | 顧客情報の用途とQoo10外への直接取引誘導に制限 | 注文顧客を管理し、自社ECサイトで直接販売 |
| SEO | 主にQoo10内の商品検索 | 自社ECサイトに記事や商品情報を蓄積 |
| 向く段階 | ECモールで販売機会を広げたい | 販売・決済手数料を抑え、自社販売を伸ばしたい |
比較の起点は、1件売れたときに差し引かれる販売・決済手数料です。コスメ主要カテゴリーのQoo10販売手数料10%に対し、Shopify BasicでShopify Paymentsの標準国内カードを利用する場合は3.55%です。販売数が増えるほど、この差は利益に影響します。ただし、Shopifyでは月額料金と自社で集客するための費用が別にかかります。Qoo10の手数料にはECモール内で商品を見つけてもらえる機会も含まれると考え、広告費まで含めた総額を比較しましょう。
2. Qoo10は固定費ゼロでも販売手数料と追加費用がかかる

Qoo10は初期費用、月額固定費、商品登録料が0円です。ただし、取引成立時には販売手数料が発生し、条件によって追加手数料や振込手数料もかかります。「無料で販売できる」ではなく、「固定費を抑えて始められる」と捉えましょう。
コスメの基本販売手数料は10%で、決済手数料も含まれる
カテゴリー別販売手数料は6〜10%です。スキンケア、メイク、ヘア、ネイル、香水など、ビューティー・コスメの主要カテゴリーは10%です。計算対象は商品価格、オプション価格、送料の合計で、購入者の決済手数料も含まれます。
Qoo10サービス利用料には消費税10%もかかります。コスメの販売手数料が10万円なら、Qoo10からの請求には消費税1万円が加わります。ただし、仕入税額控除などは事業者の状況で変わるため、税務上の最終負担とは断定できません。
外部広告や海外発送など、条件によって追加費用が発生する
| 費用 | 率・金額 | 主な条件・計算対象 |
|---|---|---|
| 外部広告手数料 | 1% | Qoo10外の広告などを経由した注文 |
| 海外商品販売手数料 | 2% | 国外発送、または登録口座が国外 |
| 予約配送商品手数料 | 2% | 予約発送に設定した注文 |
| メガ割システム利用料 | 1% | 参加商品の購入者決済額 |
| 割引支援手数料 | 0.5% | Qoo10負担割引が適用された注文 |
| 振込手数料 | 150円/回 | 精算金の銀行振込1回あたり |
| 有料販促 | 施策による | 広告、特価、クーポンなど |
追加手数料は、すべての注文へ一律に加算されるものではありません。該当条件と計算対象を施策ごとに確認します。
メガ割20%は販売者10%・Qoo10 10%の共同負担になる
メガ割では購入者向け20%割引を、販売者とQoo10が10%ずつ分担します。通常のカテゴリー手数料は割引前価格が基準です。一方、システム利用料1%と割引支援手数料0.5%は、購入者の最終決済額を基準にします。
10,000円の商品をメガ割で販売した場合
- 購入者の支払額:8,000円
- 販売者の値引き負担:1,000円
- 通常の販売手数料:1,000円
- その他の手数料:約120円(システム利用料80円+割引支援手数料40円)
販売者側の負担は合計約2,120円です。サービス利用料への消費税や、条件に応じた追加費用は別に確認します。実際の精算には補填、調整、端数処理があるため、これは理解用の単純例です。
メガ割への参加は売上だけで決めず、商品ごとに販売価格から原価、送料、値引き、手数料、広告費を引いてください。注文が増えても利益が残らなければ、次の仕入れや販促を続けにくくなります。
3. ShopifyはECサイトの制作費と集客費を中心に考える

Qoo10の販売手数料を抑える目的でShopifyを利用する場合、月額プラン料金や決済手数料だけを見るのでは不十分です。大きな支出になりやすいのは、自社ECサイトの制作・改修と、広告やSNS、SEOなどの集客です。ドメイン、テーマ、アプリ、保守費も含め、立ち上げ費用と継続的な運用費を分けて見積もりましょう。
Shopify Paymentsの標準国内カード手数料はQoo10のコスメ販売手数料10%より低い
| プラン | 月払い | 年払い月額換算 | 標準国内カード | 外部決済の追加取引手数料 |
|---|---|---|---|---|
| Basic | 4,850円 | 3,650円 | 3.55% | 2% |
| Grow | 13,500円 | 10,100円 | 3.40% | 1% |
| Advanced | 58,500円 | 44,000円 | 3.25% | 0.6% |
Shopify Paymentsの標準国内カード手数料は3.25〜3.55%で、Qoo10のコスメ主要カテゴリーの販売手数料10%より低く設定されています。Shopify Paymentsを利用する注文では、外部サービス取引手数料はかかりません。外部決済では、そのサービスの決済費用に加え、表の追加取引手数料が発生します。American Expressや海外発行カードは別料率です。詳細はShopify料金プランの月商別シミュレーションをご覧ください。
アプリ・制作・広告にかかる費用は別に考える
独自ドメイン、有料テーマ、アプリ、撮影、初期構築、改修、保守、物流、広告などで総額は変わります。ECサービスと決済、サイト制作、お客様を集める費用、日々の運用という4つに分けます。
4. 手数料を下げたくても、自社ECサイトの集客には不安が残る

「販売手数料は下げたい。でも、自社ECサイトにお客様を集められるか不安」という方は少なくありません。自社ECサイトは、公開しただけで十分なアクセスが集まるとは限らないためです。以下では、両方で同じ月商を得られると仮定し、Qoo10とShopifyの販売・決済にかかる費用を比べます。利益や売れやすさの比較ではありません。
Qoo10コスメ10%とShopify Basicを月商別に比べる
月商は商品、オプション、送料を含む注文金額です。Qoo10はコスメ販売手数料10%の通常販売のみとし、手数料にかかる消費税、追加手数料、広告、メガ割、クーポン、返品、振込を除きます。ShopifyはBasicの年払い月額換算3,650円と標準国内カード3.55%を使用し、アプリ、ECサイト制作、広告などを除きます。
| 月商 | Qoo10(10%) | Shopify Basic(3.55%) |
|---|---|---|
| 10万円 | 10,000円 | 7,200円 |
| 50万円 | 50,000円 | 21,400円 |
| 100万円 | 100,000円 | 39,150円 |
| 300万円 | 300,000円 | 110,150円 |
| 500万円 | 500,000円 | 181,150円 |
Qoo10の金額はコスメ販売手数料10%だけを示し、サービス利用料にかかる消費税は含めていません。Shopifyを月払いにすると各月1,200円を加えます。この表には、ECサイトの制作費、広告費、アプリ費、返品・振込などを含めていないため、手数料差を確認するための試算としてご覧ください。
5. 知名度が低いコスメブランドは、まずQoo10で需要を確かめるのがおすすめ
ブランドの知名度が低く、自社ECサイトへの集客経路も整っていない段階では、まずQoo10で需要を確かめるのがおすすめです。ECモール内の検索やセールを通じて、初回購入や商品の反応を確認できます。ただし、メガ割や価格競争に合わせすぎると利益が残りにくいため、商品ごとの採算を先に確認します。
検索・レビュー・セールへの反応から売れ筋を探す
Qoo10では、商品名、画像、容量、価格、説明、レビュー、セール時の反応を見ながら、選ばれやすい商品を探せます。ただし、ランキング掲載や売上は保証されません。商品ページを整え、在庫と配送を安定させ、検証を続けます。
注意:粗利が低い商品は値引きと手数料で利益が残りにくい
粗利とは、売上から商品原価を引いた利益です。まず粗利を確認したうえで、商品ごとに「販売価格-原価-物流費-手数料-値引き-広告費」を計算します。通常販売とメガ割を分け、粗利だけでなく実際に手元へいくら残るかも確認しましょう。
自社ECサイトへ集客できるなら、手数料の低いShopifyがおすすめ
SNSのフォロワー、指名検索、広告体制、店舗のお客様、メディア掲載など、自社ECサイトへお客様を呼び込む手段があるなら、手数料の低いShopifyがおすすめです。Qoo10のコスメ販売手数料10%に対し、Shopify Basicの標準国内カード手数料は3.55%です。月額料金、ECサイトの制作費、広告費などは別にかかりますが、自社で集客できるほど、1件の注文から残る利益を増やしやすくなります。
自社ECサイトを持つことと、最初から自社ECサイトだけで売ることは別です。まずQoo10で需要を確かめ、自社ECサイトへ集客できるようになった段階でShopifyの比重を高めれば、販売手数料を抑えながら無理のない形で移行できます。
6. 併用するならQoo10で集客し、Shopifyで販売手数料を抑える
Qoo10はECモール内で商品を見つけてもらい、初回購入や売れ筋を確かめる販売先として使います。Shopifyは、自社で集客できるお客様へ、Qoo10より低い販売・決済手数料で直接販売するために使います。併用の目的は、Qoo10の集客力を活かしながら、自社で集客できる売上はShopifyへ振り分け、全体の販売手数料を抑えることです。
チャネルごとの目的と評価指標を分ける
| 役割 | Qoo10 | Shopify |
|---|---|---|
| 主な目的 | ECモール内で初回購入を獲得する | 販売・決済手数料を抑えて直接販売する |
| 集客方法 | 検索、ランキング、レビュー、メガ割 | 広告、SNS、SEO、店舗、広報 |
| 確認する数字 | 初回購入者数、商品別売上、値引き後利益 | 販売・決済手数料、購入率、広告費、1件あたり利益 |
| 蓄積する情報 | Qoo10内の販売履歴・評価 | 注文情報、顧客リスト、自社ECサイトのコンテンツ |
7. 結局、Qoo10とShopifyはどちらを選ぶ?
販売先を決める際は、ブランドの知名度、粗利、客単価、自社ECサイトへの集客力、ECサイトの制作・運用にかけられる予算を確認します。大きな分かれ目は、Qoo10の集客力を使うか、自社で集客して販売・決済手数料を抑えるかです。自社ECサイトへ十分に集客できるなら、手数料の低いShopifyがおすすめです。
条件別の判断表で、事業の状況に近い選択肢を絞る
| 事業の状況・目的 | おすすめ | 判断理由・確認点 |
|---|---|---|
| ブランドがまだ知られていない | Qoo10 | ECモール内の検索やセールから初回購入につながりやすい |
| 需要を小さく検証したい | Qoo10 | 固定費を抑えやすい。商品別利益も確認 |
| SNSや店舗などから自社ECサイトへ集客できる | Shopify | 自社で集客し、Qoo10より低い手数料で販売しやすい |
| 世界観や商品理解が重要 | Shopify | 自社ECサイトのデザインと説明を設計しやすい |
| Qoo10の販売手数料を下げたい | Shopify | Basicの標準国内カード3.55%と制作・集客費を試算 |
| Qoo10の集客とShopifyの低い手数料を両立したい | 併用 | 販売先ごとの集客費と1件あたり利益を分けて管理 |
| 粗利が低く値引き余地が少ない | 個別試算 | Qoo10の値引き・手数料とShopifyの制作・集客費を比較 |
販売方法を絞ったら、代表商品を一つ選び、Qoo10の通常販売、メガ割、Shopifyの3通りで1件あたりの利益を計算します。Qoo10の販売手数料・値引きと、ShopifyのECサイト制作費・集客費・決済手数料・運用時間を並べ、どの売上規模から利益が残りやすいかを確認しましょう。他のカートも比較するなら、MakeShopとShopifyの比較記事も参考になります。
よくある質問
Q. Qoo10は初期費用や月額費用がかかりますか?
初期費用、月額固定費、商品登録料は0円です。売れたときはカテゴリー別販売手数料がかかり、条件に応じた追加手数料、消費税、振込手数料、有料販促費も発生します。
Q. Qoo10のメガ割では販売者が何%負担しますか?
購入者向け20%割引のうち販売者が10%、Qoo10が10%を分担します。別にカテゴリー手数料、システム利用料1%、割引支援手数料0.5%などがあります。
Q. ブランドの知名度が低くてもShopifyで売れますか?
販売はできますが、作っただけではアクセスは集まりません。広告、SNS、SEO、店舗のお客様、広報などの集客経路が必要です。
Q. Qoo10とShopifyは同時に運用できますか?
併用できます。Qoo10で販売機会を広げ、Shopifyでは直接販売と顧客リストの蓄積を進めるなど、役割を分けます。商品情報、在庫、受注、配送、問い合わせ対応はまとめて管理します。
まとめ
ブランドの知名度が低く、自社ECサイトへの集客経路が整っていないコスメ事業者には、まずQoo10で需要や売れ筋を確かめる方法がおすすめです。自社ECサイトへ集客でき、ECサイトの制作・運用費を含めても販売手数料の差が残る段階では、Shopifyがおすすめです。
Qoo10の販売手数料10%だけ、またはShopifyの決済手数料だけで決めないでください。メガ割の値引き、追加手数料、広告費、原価、物流、運用時間を含め、注文1件と月単位の両方で利益を確かめます。
Shopifyを自社ECサイトとして運用するには、ECサイトの制作・改善、集客経路、商品説明、在庫・配送設定を一体で設計する必要があります。株式会社SOLSTARは、Shopifyのサイト設計、アプリ提案、運用を支援しています。Qoo10との役割分担も含めて整理したい方は、国内Shopify EC構築サービスをご覧ください。