「プランを上げれば決済手数料が下がる」とよく言われます。たしかにShopifyは上位プランほど手数料率が低いのですが、その分だけ月額は高くなります。上げれば必ず得をするとは限らないわけです。自社の売上規模なら、結局どのプランが一番安いのか。ここで迷う方は多いはずです。
この記事は、これからECサイトを始める方や中小事業者の方に向けて書いています。先に結論をお伝えすると、多くの中小事業者はBasicかGrowで足ります。Advancedや、その上のShopify Plusは、売上が大きく育ってきたときや、どうしても必要な機能が出てきたときに検討すれば十分です。
本記事では、Shopifyの3プラン(Basic・Grow・Advanced)を「月額+決済手数料」の合計額で比較しました。月商別の早見表があるので、「自分の売上なら、どのプランが一番安いか」がその場でわかります。年払いや外部決済を使う場合で結論がどう変わるかも、必要な人だけ読めるように整理しました。
これからShopify導入を検討する方は、あわせて「Shopifyの始め方・基礎」を解説した記事もご覧ください。
目次
1. 結論:月商別のおすすめプラン
先に答えからお伝えします。月額と決済手数料を合計した「毎月かかる合計額」で見て、一番安いプランは月商によって3つに分かれます(月払い・Shopify Payments前提)。まずは自社の月商がどのゾーンに入るのか、ここでざっくり掴んでください。金額入りの詳しい早見表は第3章にあります。
| 月商の目安(年商) | 一番安いプラン | その理由 |
|---|---|---|
| 〜約577万円 (年商〜約6,900万円) |
Basic | 月額の安さがそのまま効く |
| 約577万〜3,000万円 (年商約6,900万〜3.6億円) |
Grow | 低い手数料率が月額差を取り返す |
| 約3,000万円超 (年商約3.6億円超) |
Advanced | ただし大半は到達せず、実質は機能で選ぶ |
※月払い・Shopify Payments前提で、費用面で最も安いプランを示しています。プランが切り替わる月商ライン(約577万円・約3,000万円)の根拠は第3章で説明します。
ポイントを3つにまとめると、次のとおりです。
- 月商〜約577万円(年商〜約6,900万円)はBasicが最安。手数料の差より、月額の安さが効くゾーンです。
- 月商約577万〜3,000万円(年商約6,900万〜3.6億円)はGrowが最安。低い手数料率の節約が、月額差を取り返すゾーンです。
- 月商約3,000万円超(年商約3.6億円超)はAdvancedが最安。ただしここまで到達する事業者は多くないため、Advancedは料金ではなく必要な機能で選ぶプランと考えてください。
2. Shopifyの料金で見るべき2つの費用
なぜ月商でプランが切り替わるのか。その理由は、Shopifyの料金が「2つの費用」でできているからです。ここを押さえると、早見表の数字がすっと理解できます。
2026年6月時点のShopify公式料金(jp/pricing)は次のとおりです。本記事が想定するのは年商数千万円規模までの中小EC事業者なので、比較するのはBasic・Grow・Advancedの3つです(その上のShopify Plusは第8章で扱います)。月払いと年払いの両方を1つの表にまとめました。年払いにすると、月払いより25%ほど安くなります。
| プラン | 月額 (月払い) |
月額 (年払い・25%off) |
決済手数料率 (Shopify Payments) |
外部決済の 取引手数料率 |
|---|---|---|---|---|
| Basic | 4,850円 | 3,650円 | 3.55% | 2.0% |
| Grow (旧スタンダード) |
13,500円 | 10,100円 | 3.40% | 1.0% |
| Advanced | 58,500円 | 44,000円 | 3.25% | 0.6% |
| (参考)Plus | 368,000円〜 (グローバル版 2,300ドル〜) |
2.90% | ― | |
表のとおり、上位プランほど月額は高く、決済手数料率は低くなります。プラン選びで差がつくのは、この「月額」と「決済手数料」の2つだけ。本記事では、この2つを合計した金額でプランを比べます。ここでは、毎月かかる合計額を「総費用」と呼びます。
総費用 = 月額 + 決済手数料(月商 × 決済手数料率)
注記: 上記は2026年6月時点の公式料金です。新規申し込みでは、最初の3か月が月額150円になるキャンペーンが実施されることもあります。対象プランや適用条件、実施期間はShopifyの定めにより変わり、終了する場合もあります。最新の情報は公式の料金ページ(shopify.com/jp/pricing)でご確認ください。
①月額:売上に関係なく毎月かかる費用
1つめは月額です。これは売上が0円でも、1,000万円でも、毎月定額でかかります。プランを上げるほど月額は高くなりますが、その代わりに2つめの決済手数料の率が下がる仕組みです。
②決済手数料:売上に応じて増える費用
2つめは決済手数料です。こちらは「月商 × 手数料率」で計算され、売上が増えるほど金額も大きくなります。
つまり、売上が小さいうちは月額の安いプランが有利で、売上が大きくなると手数料率の低いプランが有利になります。月額の高さを、手数料の節約でどこから取り返せるか。その境目が、第1章で触れた「プランが切り替わる月商ライン」です。具体的な金額は、次の第3章の早見表で見ていきます。
決済手数料は「Shopify Payments」か「外部決済」かで変わる
もう一点だけ、前提を押さえておきましょう。決済手数料の中身は、どの決済方法を使うかで変わります。
Shopify純正の決済機能「Shopify Payments」を使う場合は、上の表の決済手数料率(Basicなら3.55%)だけがかかります。一方、Shopify Payments以外の外部決済(決済代行会社など)を使う場合は、決済代行側の手数料とは別に、Shopifyへ支払う「取引手数料」(Basic 2.0%/Grow 1.0%/Advanced 0.6%)が上乗せされます。
この違いで結論が変わるので、本記事の早見表はまずShopify Payments前提で進めます。外部決済を使う方は、第6章だけ追加で確認してください。
3. 月商別の最安プラン早見表(月額+決済手数料で比較)
ここが本記事の中心です。月商別に「月額+決済手数料」の合計額を3プラン横並びで並べ、その行で最も安いプランを太字+色つきでハイライトしました(月払い・Shopify Payments前提)。ご自身の月商に近い行を目安にしてください。
この早見表は、手数料率だけを比べたものではありません。各プランの月額料金に、月商ごとの決済手数料を足した「毎月かかる合計額」で比較しています。表のBasic・Grow・Advanced欄に入っている金額は、いずれも「月額+決済手数料」の月間コストです。
| 年商(目安) | 月商 | Basic 月額+手数料 |
Grow 月額+手数料 |
Advanced 月額+手数料 |
|---|---|---|---|---|
| ① Basicが最安(月商〜約577万円)|月額の安さが効く | ||||
| 1,200万円 | 100万円 | 40,350円 | 47,500円 | 91,000円 |
| 3,600万円 | 300万円 | 111,350円 | 115,500円 | 156,000円 |
| 4,800万円 | 400万円 | 146,850円 | 149,500円 | 188,500円 |
| 5,160万円 | 430万円 | 157,500円 | 159,700円 | 198,250円 |
| 6,000万円 | 500万円 | 182,350円 | 183,500円 | 221,000円 |
| ② Growが最安(月商約577万〜3,000万円)|手数料の節約が月額差を上回り始める | ||||
| 7,200万円 | 600万円 | 217,850円 | 217,500円 | 253,500円 |
| 1億2,000万円 | 1,000万円 | 359,850円 | 353,500円 | 383,500円 |
| 2億4,000万円 | 2,000万円 | 714,850円 | 693,500円 | 708,500円 |
| 2億7,120万円 | 2,260万円 | 807,150円 | 781,900円 | 793,000円 |
この表からわかることは、シンプルです。
- 月商〜約577万円はBasicが最安。手数料の差より、月額の安さが効きます。
- 月商約577万〜3,000万円はGrowが最安。手数料率0.15%分の節約が、月額の差(8,650円)を上回って逆転します。
- 月商約3,000万円超はAdvancedが最安。手数料の差だけで、Advancedが元を取れるようになります。
注目してほしいのは、この早見表に載せた月商2,260万円(年商2億7,000万円超)までの範囲で、Advancedが一度も最安になっていないことです。Advancedが手数料だけで最安になるのは月商約3,000万円を超えてから。多くの中小事業者にとっては、現時点ではコスト面での選択肢になりにくいプランです。Advancedは、料金ではなく必要な機能で選ぶプランだと考えてください。
※月商577万円・3,000万円の付近では、隣り合うプランの合計額がほぼ同額です。境界の数万円差に神経質になる必要はありません。「このラインを超えたらプランを見直す目安」くらいに捉えてください。
※この早見表は、月払い・Shopify Paymentsを前提に、月額料金と決済手数料を合計した月間コストで比較しています。アプリ費用、外部決済会社の手数料、制作・保守費用は含みません(これらは第7章で解説します)。
詳しい計算式を知りたい方へ(月商ラインの求め方)
プランが切り替わる月商ラインは、シンプルな式で計算できます。考え方を押さえておけば、料金が改定されても自分で計算し直せます。
切り替わる月商 = 月額の差 ÷ 手数料率の差
月払い・Shopify Paymentsの場合、手数料率の差はプラン間でわずか0.15%しかありません。そのぶん、切り替わる月商はかなり高くなります。
| 比較するプラン | 月額の差 | 手数料率の差 | 切り替わる月商 | 年商の目安 |
|---|---|---|---|---|
| Basic → Grow | 13,500−4,850=8,650円 | 3.55%−3.40%=0.15% | 8,650÷0.0015=約577万円 | 約6,900万円 |
| Grow → Advanced | 58,500−13,500=45,000円 | 3.40%−3.25%=0.15% | 45,000÷0.0015=約3,000万円 | 約3億6,000万円 |
Grow→Advancedの切り替わりが月商約3,000万円という高さにあるため、早見表ではAdvancedが一度も最安になりませんでした。
4. Basic・Grow・Advancedはどんな人に向いているか
早見表で「自社はどのゾーンか」がわかったら、次は「そのプランがどんな事業フェーズに向いているか」を確認しましょう。料金だけでなく、使える機能の面からも見ていきます。
Basicが向いている人:月商〜約577万円
立ち上げ期から成長期にあたる規模です。副業のECサイト、商品数の少ないハンドメイドブランド、広告で集客が回り始めたコスメ・食品ブランドなどが当てはまります。
このゾーンではBasicが最安です。たとえば月商300万円なら、Basicの合計額は約11.1万円。同じ月商でもGrowは約11.6万円ですから、差は月5,000円ほどにすぎません。手数料の金額そのものは3プランでほとんど変わらず、効いてくるのは月額の安さです。コスト面だけなら、無理にプランを上げる理由は乏しいといえます。
ただし、Growにすると追加できるスタッフアカウントが増え、詳しい販売レポートや複数拠点の在庫管理といった機能も使えます。チームが増えた、データを細かく見て施策を回したい。こうした事情があれば、月数千円の差でGrowを選ぶのも十分に合理的です。
Growが向いている人:月商約577万〜3,000万円
広告とリピートが回り、本格運用フェーズに入ったアパレル・雑貨ブランドなどが当てはまる規模です。
ここではGrowが最安です。月商が約577万円を超えると、Growにすることで浮く手数料が、月額の上乗せ分(8,650円)より大きくなるからです。たとえば月商600万円なら、Growの合計額は約21.75万円で、Basic(約21.79万円)をわずかに下回ります。
この帯は、Growの機能、つまりスタッフアカウントの追加、詳細レポート、複数拠点の在庫管理が活きてくる規模でもあります。コストと機能の両面から、Growが選びやすくなります。
Advancedが向いている人:必要な機能で選ぶ段階
Advancedが手数料の安さだけで最安になるのは、月商約3,000万円(年商約3.6億円)を超えてからです。それ未満ではGrowのほうが安く、早見表のとおり月商2,260万円でもまだGrowが最安でした。
つまりAdvancedは、手数料の安さではなく機能の充実度で選ぶプランです。高度なレポート機能、より多くのスタッフアカウント、在庫・配送の細かな設定、多通貨での販売など、運用が複雑になってきたときに価値を発揮します。月数万円の差額を運用効率への投資と捉えられるなら、Growゾーンの売上でもAdvancedを選ぶ意味は十分にあります。
補足: ここで試算した決済手数料は、Shopify固有の費用ではありません。クレジットカード決済を受け付ける限り、他のECプラットフォームや自社のECサイトでも同じように発生します。プランやプラットフォームを比べるときは、月額だけでなく決済手数料を含めた合計額で見るのが大切です。
5. 年払いを選ぶ場合の注意点
ここまでは月払いを前提に計算してきました。知っておきたいのは1点だけです。長く使うなら年払いが安く、年払いだと上位プランへの切り替えラインも下がるということ。年払い(25%オフ)で月額が下がるぶん、同じ月商でもGrowやAdvancedが早く有利になります。
具体的には、Basic→Growの切り替えは約577万円から約430万円へ、Grow→Advancedは約3,000万円から約2,260万円へと、いずれも月払いより低い月商で前倒しになります。とはいえ、細かい境界線を気にするより、まずは「月払いか年払いか」を自社の方針で決めるほうが現実的です。下の表を目安にしてください。
| こんな場合 | おすすめの支払い方 |
|---|---|
| まず試したい・短期で様子を見たい | 月払い |
| 長く使うことが決まっている | 年払い(25%オフ) |
| 月商400万〜600万円前後でBasicかGrowに迷う | 年払いなら早めにGrowも検討 |
| 月商2,000万円超でGrowかAdvancedに迷う | 年払いならAdvancedも検討(基本は機能で判断) |
長く続ける前提なら、月額が25%安くなる年払いが有利です。一方、短期のテスト販売や、手元の資金を厚く保ちたい段階なら、月単位で見直せる月払いが向いています。判断するときは、自社が月払いか年払いかを先に決め、それに合わせて第3章の早見表を読んでください。
6. 外部決済を使う場合だけ確認:Grow以上が有利になりやすい
※Shopify Payments(純正決済)を使う方は、この章は飛ばしてOKです。
Shopify Payments以外の外部決済(決済代行)を使う場合は、第2章で触れた「取引手数料」がShopifyへの支払いに上乗せされます。この取引手数料の率の差はShopify Paymentsよりはるかに大きく(Basic 2.0%/Grow 1.0%/Advanced 0.6%)、そのぶん上位プランが早く有利になります。
この章で比較しているのは、外部決済会社に支払う手数料ではなく、外部決済を使うことでShopifyへ追加で支払う「取引手数料」です。外部決済会社側の手数料は契約先によって異なるため、ここには含めていません。月額料金と、Shopifyへ支払う取引手数料だけを合計して比較します。
外部決済利用時|月商別のコスト比較(月額+Shopifyへの取引手数料)
| 月商 | Basic 月額+取引手数料 |
Grow 月額+取引手数料 |
Advanced 月額+取引手数料 |
最安プラン |
|---|---|---|---|---|
| 50万円 | 14,850円 | 18,500円 | 61,500円 | Basic |
| 100万円 | 24,850円 | 23,500円 | 64,500円 | Grow |
| 300万円 | 64,850円 | 43,500円 | 76,500円 | Grow |
| 1,000万円 | 204,850円 | 113,500円 | 118,500円 | Grow |
| 1,200万円 | 244,850円 | 133,500円 | 130,500円 | Advanced |
※月払い・外部決済の前提で、月額料金とShopifyへ支払う取引手数料(Basic 2.0%/Grow 1.0%/Advanced 0.6%)だけを合計した金額です。外部決済会社側の決済手数料は含みません。年払いにすると月額が下がるため、Growが有利になるラインはさらに低くなります。
表のとおり、外部決済を使うと月商100万円前後でもGrowのほうが安くなりやすいのが特徴です。Shopify Payments前提ではBasicからGrowへの切り替えが月商約577万円でしたが、外部決済では約86.5万円とぐっと早まります。外部決済を前提に事業を組むなら、早い段階でGrow以上にしておくと、取引手数料の節約で得をしやすくなります。
詳しい計算式を知りたい方へ(外部決済の切り替えライン)
プランが入れ替わる月商は、月額の差を取引手数料率の差で割って求めます。
- Basic → Grow:月額差8,650円 ÷ 取引手数料率の差1.0% = 約86.5万円
- Grow → Advanced:月額差45,000円 ÷ 取引手数料率の差0.4% = 約1,125万円
この2本のラインが、上の月商別コスト表で最安プランが入れ替わる境目です。
7. プラン料金以外にかかる費用
ここまではプラン月額と決済手数料を対象に試算してきました。ただし、ECサイトで実際にかかる費用全体で考えるなら、見落とせない費目があと2つあります。アプリ費用と、構築・カスタマイズの開発費です。これまでの合計額(月額+決済手数料)に、このアプリ費・開発費まで足したものが、実際にかかる費用の全体像になります。
この2つは、プラン月額や手数料と違って売上には比例しません。必要な機能や、運用体制の複雑さで決まる費用です。そして規模が上がるほど、プラン料金の差額よりも費用全体への影響が大きくなる場面が出てきます。費用の内訳を整理すると、次のようになります。
| 費目 | 性質 | 金額の決まり方 |
|---|---|---|
| プラン月額 | 売上に関係なく毎月かかる | 選んだプランで決まる(月払い 4,850〜58,500円) |
| 決済手数料 | 売上に応じて増える | 月商×手数料率。売上に比例 |
| アプリ費用 | 売上に関係なく毎月かかりやすい | 導入するアプリの数・種類で決まる。売上に比例しない |
| 構築・運用開発費 | 投資(初期+継続) | 実現したい機能・改善内容で決まる |
アプリ費用は、使うアプリの数で増減はするものの、売上には連動しません。プラン月額は月数千〜数万円の範囲ですが、アプリと開発費はそれを上回ることも珍しくありません。プラン選びだけに目を向けず、費用全体で見る視点を持ちましょう。
月間コストのミニ試算(月商300万円・Basicの例)
言葉だけではイメージしにくいので、具体例を1つ挙げます。月商300万円のストアをBasicで運用し、一部の作業を外部に頼んだ場合の、月間ランニングコストの目安です。
| 費目 | 月額の目安 |
|---|---|
| プラン月額(Basic・月払い) | 4,850円 |
| 決済手数料(300万円×3.55%) | 約106,500円 |
| アプリ費(必要な数本) | 約1万〜2万円 |
| 保守・運用代行(依頼する場合) | 約3万〜5万円 |
| 月間ランニング合計 | 約15万〜18万円 |
このほかに、立ち上げ時には初期構築費(一括・別途)がかかります。デザイン制作やカスタマイズを外注する費用で、相場は「構築費用の内訳」で解説しています。有料テーマを使う場合は3〜7万円程度(一括・買い切り)、独自ドメインは年1,600〜3,200円程度が別途かかります。
この試算から見えてくるのは、プラン月額(4,850円)は月間コストのごく一部でしかないという点です。実際に効いてくるのは決済手数料と、アプリ・運用費のほう。プラン料金の数千円差だけでプランを判断しないことが大切です。
※あくまで一例です。自社で運用するなら保守・運用代行の費用は不要ですし、アプリの本数や依頼内容によって金額は大きく変わります。
アプリ費用の目安と過剰導入への注意
Shopifyは標準機能がシンプルなぶん、レビュー表示、メール配信、定期購入、ポイント機能などをアプリで補うのが一般的です。アプリは月額数百円〜数千円程度(数ドル〜数十ドル)のものが多いものの、5本も10本も積み重なれば、毎月かかる固定費として無視できない金額になります。
ここで実務上のポイントになるのが、必要十分なアプリだけを選ぶことです。似た機能のアプリを重複して入れていたり、使っていないアプリを契約したままにしていたり。こうしたケースは少なくありません。アプリの選定と定期的な棚卸しが、利益率を守ることにつながります。
構築・カスタマイズ費は規模が上がるほど必要に
もう一つが、構築・カスタマイズの開発費です。デザイン制作、機能開発、外部システム連携などを制作会社やフリーランスへ依頼する費用で、売上には連動しない初期投資・継続投資にあたります。規模が大きくなり、やりたいことが増えるほど、必要になっていきます。
具体的な相場は、依頼内容や規模によって幅があります。詳しくは以下の記事で解説しています。
8. Shopify Plusはいつ検討するべきか
Shopify Plusは、月商や手数料だけで選ぶプランではありません。月額368,000円〜(グローバル版2,300ドル〜)の大規模事業者向けプランで、多くの中小事業者にとっては当面は検討の必要が薄い存在です。「自分には当面関係ないが、念のため知っておく」くらいの気持ちで読んでください。
よくある誤解が、「売上が一定ラインを超えたら自動的にPlus」という考え方です。実際にはコストで割り切れるプランではなく、必要な機能が出てきた段階で検討するものです。具体的には、次のような機能が必要になったときが検討のサインです。
- 購入画面(チェックアウト)の高度なカスタマイズ
- B2B・卸売(取引先ごとの価格設定や卸売チャネル)
- 複数ストアの運営・多通貨での海外展開
- 外部システム連携や業務の自動化(在庫連携・受注処理など)
- 大規模セールに耐える体制と専任サポート
逆に言えば、これらの機能がまだ必要ないうちは、年商が数億円規模になってもBasic〜Advancedで十分まかなえるケースが多くあります。Plusは「売上が増えたから」ではなく「機能が必要になったから」検討する、と覚えておきましょう。年商が大きく本格的に検討する段階の方は、年商別にPlus費用を試算した「Shopify Plusの費用は?決済手数料を年商別にシミュレーション」もあわせてご覧ください。
※参考までに、手数料の節約だけでPlusの月額を回収するには、月商約8,900万円・年商約10.6億円規模が必要になります。やはりPlusは「コストで選ぶ」より「機能で選ぶ」プランです。
9. よくある質問(Shopifyの費用・手数料)
Shopifyの費用まわりで、初心者の方からよく寄せられる質問をまとめました。料金・手数料はいずれも2026年6月時点の情報です。
Shopifyは無料で使えますか?
完全に無料のプランはなく、使うには有料プランの契約が必要です。とはいえ、申し込み前に数日間の無料体験ができますし、その後しばらくは割引価格で使えるキャンペーンが実施されることもあります(2026年6月時点では、最初の3か月が月額150円になるキャンペーンなど)。なお、こうしたキャンペーンの対象プランや適用条件、実施期間はShopifyの定めにより変わり、終了する場合もあります。最新は公式料金ページ(shopify.com/jp/pricing)でご確認ください。
Shopifyの月額料金はいくらですか?
月払いの場合、Basicが4,850円、Growが13,500円、Advancedが58,500円です。年払い(25%オフ)にすると、月額換算でBasic3,650円、Grow10,100円、Advanced44,000円まで下がります(いずれも2026年6月時点)。中小事業者の多くはBasicかGrowで足りるので、まずはこの2つから比べると判断しやすくなります。
決済手数料はいくらですか?
Shopify純正のShopify Paymentsを使う場合、国内クレジットカードの手数料はBasicが3.55%、Growが3.40%、Advancedが3.25%です。これ以外の外部決済を使うときは、別にShopifyへ払う取引手数料(Basic 2.0%/Grow 1.0%/Advanced 0.6%)が上乗せされます。どちらの決済を使うかで総額が変わる点には注意してください。
独自ドメイン(ドメイン代)は別途必要ですか?
独自ドメインの費用は、プラン料金とは別にかかります。取得方法は、Shopify内で取るか、外部のドメイン会社で取って接続するかの2通りです。費用の目安は年1,600〜3,200円程度。なくてもストアは公開できますが、ブランドの信頼感を高めたいなら、独自ドメインの取得をおすすめします。
アプリの費用はどれくらいかかりますか?
無料のアプリもあれば、月額数百円〜数十ドルほどの有料アプリもあり、幅があります。費用は使う機能の数で決まり、売上には比例しません。最初からあれこれ入れる必要はないので、運用しながら本当に必要な機能だけを足していくと、無駄な固定費を抑えられます。
テーマの購入費は必要ですか?
無料テーマ(Dawnなど)でもストアは開業できるので、必ずしも購入は必要ありません。もっとデザイン性や機能を求めるなら、有料テーマという選択肢もあります。有料テーマは買い切りで、目安は3〜7万円程度です(為替や製品によって変わります)。一度買えば、追加費用なしで使い続けられます。
10. まとめ
Shopifyの月額だけを見ても、実際にかかる費用はわかりません。月額に決済手数料を加えた合計額で比較してはじめて、自社にとってどのプランが安いかが見えてきます。月払い・Shopify Payments前提なら、Basic→Growの切り替えは月商約577万円、Grow→Advancedは月商約3,000万円。そのため年商3.6億円程度までは、多くの場合BasicかGrowが最も安くなります。
Advancedが手数料の差だけで最安になるのは月商3,000万円超で、多くの中小事業者にとっては現時点ではコスト面での選択肢になりにくいラインです。まずはBasic・Growから始め、事業の成長に合わせて上位を検討するのが一般的。Advancedやその先のPlusは、料金ではなく必要な機能で選ぶプランだと覚えておきましょう。
切り替えラインは、契約形態と決済方法でも動きます。年払いにすると約430万円・約2,260万円まで下がり、外部決済を使うと約86.5万円・約1,125万円までさらに下がります。自社が月払いか年払いか、Shopify Paymentsか外部決済かを先に決め、それに合った数字で判断する。これが、失敗しないコツです。
プランの選び方の簡易フロー(チェックリスト)
最後に、プランを決めるときの判断の流れを整理します。月商だけでなく、いくつかの軸で自社に当てはめてみてください。基本の考え方は、コスト最安(月商)を出発点に、必要な機能のぶんだけ上げていくことです。
- 月商を早見表に当てはめ、コスト面で最安のプラン(BasicかGrow)を把握する。
- チーム人数・スタッフアカウント数を確認する。人数が増える、権限管理が必要なら、Grow以上を検討する。
- 外部決済を使うかを決める。使うなら、早めにGrow以上にしたほうが取引手数料の差で得をしやすい。
- レポート・在庫・多通貨などの必要な機能を洗い出す。必要ならAdvancedを検討する。
- 高度な要件(チェックアウト改修・B2B卸・外部システム連携)があれば、Plusを検討する。
株式会社SOLSTARは、Shopify開発歴8年以上のスタッフが対応するチームとして、ECサイトの構築から運用までをワンストップで支援しています。実際の事例でも、商品数が少ないブランドにはBasicプランでコストを抑えた構築を行うなど、事業フェーズに合わせたプラン選定をご提案してきました。
「自社の売上ならどのプランが得か」「将来の成長を見据えてどう設計すべきか」とお悩みの方は、無料相談フォームよりお気軽にご相談ください。プラン選定からコスト試算、構築・運用まで、伴走してサポートします。
出典・クレジット
・料金・手数料率の一次ソース: Shopify公式料金ページ(shopify.com/jp/pricing)。Basic/Grow/Advanced/Plusの月額(月払い・年払い)・決済手数料率・外部決済の取引手数料を確認しています。
・本記事の月商別シミュレーションと月商ラインは、上記の公式料金をもとに「合計額=月額+月商×手数料率」で試算したものです。実際の費用は決済方法・利用アプリ・開発内容により変動します。
・本記事の金額は公式表示料金に基づく試算であり、税の扱い・為替・端数処理により実際の請求額とは異なる場合があります。
※料金・手数料は2026年6月時点の情報です。料金は改定されることがあるため、最新は公式料金ページでご確認ください。著者: 島袋隼(株式会社SOLSTAR 代表取締役)