Shopifyドロップシッピングの始め方|無在庫販売・POD・Printfulを解説【2026年版】

【2026年版】Shopify ドロップシッピングとPODの始め方を徹底解説

「在庫を抱えずにShopifyでECを始めたい」「Tシャツやグッズなどオリジナル商品を販売してみたいが、製造や発送までは手が回らない」——そんな悩みを持つ方に向けて、Shopifyでのドロップシッピングと Print on Demand(POD)の始め方をまとめました。仕組み・手順・アプリ比較・Printfulを使ったオリジナル商品販売の実例・利益率の試算・公開前に押さえるべき法律まで、Shopify構築支援の現場で得た知見をもとに解説します。読み終える頃には、自分に合うモデルと最初の一歩がはっきり見えてきます。

1. ドロップシッピングとPODとは?仕組みと違いを整理

ShopifyでドロップシッピングとPODを始める仕組みのイメージ

ドロップシッピング(日本では「無在庫販売」とも呼ばれます)は、自分で在庫を持たずに販売するECモデルです。注文が入った時点でサプライヤー(仕入れ先)に発注し、商品はサプライヤーから購入者へ直接届きます。販売者は店舗運営とマーケティングに集中でき、在庫リスクや倉庫費用を抱えずに事業を始められるのが最大の特徴です。Shopify公式日本語ブログにもドロップシッピング解説があり、海外では一般的な販売方法として広く使われています。

一方の Print on Demand(POD)は、ドロップシッピングの一形態です。あらかじめ作り置きされた既製品ではなく、注文ごとにオリジナルデザインをプリントして製造する点が異なります。Tシャツ・パーカー・マグカップ・スマホケースなど、デザイン1点から商品化できるため、クリエイターや副業層との相性が良いモデルです。

ドロップシッピングの基本フロー

ドロップシッピングは次の4ステップで流れます。

  1. 購入者がShopifyストアで注文・決済を行う
  2. 注文情報がアプリ経由でサプライヤーへ自動連携される
  3. サプライヤーが商品を梱包し、購入者へ直送する
  4. 販売者は売上と仕入原価の差額を利益として受け取る

販売者の手元には商品が一切届かない、という点が一般的なEC(自社在庫モデル)との最大の違いです。仕入れ・倉庫・出荷の業務をすべて外部化できるため、ひとりでも運営が成立します。

Print on Demand(POD/プリント・オン・デマンド)との違い

ドロップシッピングとPOD(Print on Demand/プリント・オン・デマンド)は「在庫を持たない」点で共通しますが、扱う商品の性質が異なります。ドロップシッピングは既製品(雑貨・ガジェットなど)が中心で、商品リサーチと差別化が勝負どころです。PODはオリジナルデザインの製造を伴うため、デザイン力やブランド構築力がそのまま売上に直結します。

言い換えれば、「他社にもある商品を効率よく売る」のがドロップシッピング、「自分にしかない商品を生み出す」のがPODです。どちらが優れているかではなく、得意なスタイルで選ぶのが正解です。

3つの主要形式(アプリ仲介型/直接契約型/POD型)

ドロップシッピング全体は、サプライヤーとの関係性で3つに分けられます。

  • アプリ仲介型(DSP型/Drop Shipping Provider):アプリ経由で多数のサプライヤー商品を一括で取り扱う。DSers・Spocket・CJ Dropshippingなどが該当し、参入のしやすさが最大の魅力。なお広告業界で使われるDSP(Demand-Side Platform)とは別概念です
  • 直接契約型:個別のメーカー・卸業者と独自契約を結ぶ。価格交渉や独占販売が可能だが、開拓コストがかかる
  • POD型:オリジナルデザインを注文ごとに製造。Printful・Printifyが代表格。クリエイター・ブランド志向の販売者に向く

本記事では、初心者でも始めやすいアプリ仲介型(DSP型)とPOD型を中心に解説します。


2. Shopifyでドロップシッピングを始める6ステップ

「小さく、スピーディーに始められる」のがShopify×ドロップシッピングの強みです。ただし、勢いだけで公開すると後で法令違反やクレームに直面します。下記の6ステップを順番に踏むのが安全です。各ステップの詳細はShopify公式のドロップシッピング始め方ガイドとも併せて確認すると理解が深まります。

ステップ1:ストア開設(プラン選定・テーマ)

Shopifyは月額制で利用でき、時期によって無料体験や初期割引のキャンペーンが用意されています(最新の内容はShopify公式サイトでご確認ください)。最初は最も安いベーシックプランで十分です。テーマはまず無料テーマ「Dawn」で始め、軌道に乗ってからデザインを差別化する流れが効率的です。

ステップ2:取扱ジャンル・商品コンセプトの決定

「何でも売る」店舗は、結果として誰にも刺さりません。ターゲット層と取扱ジャンルを絞り、専門ジャンル(ニッチ)に特化したコンセプトを固めるのが先決です。例として「アウトドアキャンプ用のミニマルグッズ専門店」「猫好きのためのオリジナルアパレル」のように、客層が想像できる粒度まで具体化します。

ステップ3:サプライヤー/アプリの選定

取扱ジャンルが決まったら、それに合うアプリを選びます。雑貨・ガジェット中心ならDSersやCJ Dropshipping、オリジナルTシャツ・グッズならPrintfulやPrintify、美容・健康・国内消費財なら卸の達人、といった具合です。比較表は次章にまとめました。

ステップ4:商品インポートと販売価格設定

多くのアプリは、商品情報・画像をワンクリックでShopifyへインポートできます。インポート直後は仕入価格+固定マークアップが入った状態のため、必ず手動で価格を調整します。販売価格の目安は「仕入価格+送料+(広告費・決済手数料)+利益」が成立するラインです。安易な値下げは赤字運営に直結します。

ステップ5:特商法・配送ポリシーなど法務ページの整備

Shopifyテーマには「特定商取引法に基づく表記」「配送ポリシー」「返品ポリシー」「プライバシーポリシー」のひな型が用意されています。ドロップシッピングは配送リードタイムが長くなりがちなので、配送日数の目安を必ず明記してください。記載が曖昧だと、後の章で扱う景品表示法・特商法違反のリスクが上がります。

ステップ6:受注テスト・公開・集客開始

公開前に必ずテスト注文を行い、購入者目線で受注メール・配送通知・商品到着までの体験を確認します。問題がなければストアを公開し、SNS・SEO・広告で集客を開始します。最初の1〜2か月は売上だけでなく、「想定通りに発送が回るか」「クレームが出ないか」を検証する期間と考えると、運営判断がしやすくなります。


3. 代表的なドロップシッピング/PODアプリ7選を比較

Shopifyで使えるドロップシッピングとPODアプリを比較するイメージ

2026年時点で日本のShopifyストアから現実的に使えるアプリを7つピックアップしました。かつて定番だったOberloは2022年6月にサービスを終了しており、現在は後継としてDSersが推奨されています。

比較表で全体像を把握する

アプリ名 取扱商品 国内サプライヤー 配送目安(日本) 月額費用 日本語UI 向いているジャンル
Printful POD(230種類以上) あり(熊本/石川に提携拠点) 3〜8営業日 無料 あり Tシャツ・グッズ・アパレル
Printify POD(多数のメーカー提携) なし(米国経由) 7〜14日 無料 一部対応 POD全般
DSers AliExpress連携・多ジャンル なし 7〜30日 無料プランあり 一部対応 雑貨・ガジェット
Spocket 米国・欧州中心 なし 5〜14日 有料中心 英語のみ 北米・欧州市場向け
CJ Dropshipping 中国発・幅広い なし 7〜20日 無料 一部対応 雑貨・ガジェット
Modalyst アパレル・ブランド系 なし 5〜15日 有料中心 英語のみ アパレル
卸の達人 美容・健康・国内商材 あり(国内) 2〜5営業日 無料プランあり あり 国内向け美容・健康

※料金・配送日数・対応言語は各公式サイトの最新情報を必ずご確認ください。海外サプライヤー利用時は関税・消費税の扱いも変動します。

Printful(PODの代表格・日本拠点あり)

Printfulはオリジナルデザインの製造から発送まで完結するPODサービスです。日本国内には熊本(アパレル)と石川(雑貨)の提携製造拠点があり、日本のユーザー向けに最短数営業日で届けられる点が大きな強みです。Tシャツ・パーカー・マグカップ・ステッカーなど数百種類の商品から選べ、月額費用は無料、注文が入ったときだけ商品代金が発生します。最新の対応商品数・拠点・配送日数はPrintful公式(日本向けドロップシッピング)でご確認ください。

Printify(PODの選択肢を広げる)

Printifyは複数の印刷工場をネットワーク化しており、商品の幅と価格選択肢の広さが強みです。日本拠点は弱いものの、米国・欧州市場をメインに考える場合は有力な選択肢です。同じTシャツでも工場ごとに価格・品質・配送日数が違うため、サンプルを取って比較してから採用するのが安全です。

DSers(AliExpress連携の定番)

DSersはAliExpress(中国最大級の越境マーケットプレイス)に出品される商品を、Shopifyに直接取り込めるアプリです。雑貨・小物・ガジェットなど幅広いカテゴリを扱え、無料プランも用意されています。配送日数は7〜30日と幅があるため、ストア側に「お届けまで2〜4週間程度かかります」と明記しておくのが必須です。

Spocket(米国・欧州サプライヤー中心)

Spocketは米国・欧州のサプライヤーに強く、北米・欧州向けに販売したい場合に有利です。配送リードタイムが比較的短く、商品品質も安定しやすい一方、UIは英語のみで月額有料プランが中心。日本向け運営にはハードルがあります。

CJ Dropshipping(中国発・幅広いカテゴリ)

CJ Dropshippingは中国を拠点とする総合ドロップシッピングサービスです。商品ジャンルが非常に幅広く、独自倉庫を世界各地に持っているため配送オプションも豊富。商品カスタマイズ(パッケージ印刷など)にも対応しており、ブランド志向の運営者にも適しています。

Modalyst(アパレル・ブランド系)

Modalystはアパレル・ブランド系のサプライヤーが多く揃っているサービスです。既存ブランド品を取り扱えるため、雑貨系よりも単価を高く設定しやすい反面、UIは英語のみで契約条件もやや厳しめ。アパレル特化型ストアを作りたい場合の選択肢として覚えておきましょう。

卸の達人/NETSEA(国内サプライヤー)

国内向けの物販を主軸にするなら、国内サプライヤーを使える「卸の達人」や「NETSEA」も有力です。配送が2〜5営業日と速く、日本語サポートが充実しているため、クレーム対応の負荷も下がります。アプリ連携の自動化度合いは海外サービスに劣るため、運営フローを事前に設計しておく必要があります。


4. Printfulで始めるPOD(オリジナルTシャツ・グッズ販売)

「在庫を持たずにオリジナル商品を売りたい」場合、最初に検討してほしいのがPrintfulです。日本国内に拠点があり、Shopifyとの連携が安定しており、月額固定費がかからないため、PODをこれから始める方の標準ルートになっています。詳細仕様はPrintful公式(日本向けページ)もあわせて参照してください。

Printfulの仕組みと取扱商品ラインナップ

PrintfulでオリジナルTシャツやグッズを制作するイメージ

Printfulは、Tシャツ・パーカー・スウェット・キャップ・マグカップ・ステッカー・ポスター・スマホケースなど数百種類の商品を扱っています。販売者がやることはデザイン画像をアップロードし、モックアップ(商品イメージ画像)を生成してShopifyに登録するだけ。注文が入った瞬間にPrintfulが製造・梱包・発送を代行します。最新の商品ラインナップ数は公式サイトで確認できます。

Shopifyとの連携手順(日本語UIへの切替含む)

Printfulは、Shopify アプリストアから「Printful: Print on Demand」を追加し、Printfulのアカウントと接続するだけで連携が完了します。初期設定の流れは以下の通りです。

  1. Printfulアカウントを作成し、言語設定を日本語に切替
  2. Shopifyアプリストアから Printful アプリをインストール
  3. 商品テンプレートを選び、デザイン画像をアップロード
  4. モックアップを確認し、価格を設定してShopifyへ商品を公開
  5. テスト注文で受注〜配送までの動きを確認

日本での製造・配送(熊本/石川の提携拠点と短納期)

Printfulは日本国内に提携製造拠点を構えており、日本向け注文は国内で製造・出荷されます。アパレル(Tシャツ・パーカーなど)は熊本県、非アパレル(マグカップ・ステッカー・雑貨など)は石川県の提携工場で生産される体制です。製造リードタイムの平均は2〜5営業日で、国内配送と合わせて3〜8営業日で手元に届くケースが一般的です。海外PODサービスでは2〜4週間かかることが珍しくないため、日本市場をターゲットとするなら国内拠点の有無は大きな判断軸になります。最新の拠点情報・配送日数は時期により変動するため、公開前にPrintful公式(日本向けドロップシッピング)Printfulヘルプセンター(拠点一覧)で確認してください。

料金と利益率の試算(Tシャツ1枚あたりの一例)

「PODは利益率が低い」と言われがちですが、実際にどの程度なのかを数値で見てみましょう。下記はTシャツ1枚を販売するときの一例です。Printfulで標準的に選ばれるスタンダードラインのTシャツに片面プリントを行った場合の概算を想定しています。

項目 金額(一例) 備考
販売価格 3,500円 顧客に提示する価格
Printful商品代金(製造費) 1,500円 無地Tシャツ+片面プリントの概算(商品・サイズにより変動)
配送料(国内発送) 500円 Printful → 購入者
Shopify決済手数料(約3.4%) 約119円 Basicプラン・国内Visa/Mastercard決済の例。JCB等や決済種別で変動
利益(広告費考慮前) 約1,381円 粗利率 約39%

※金額は概算・税抜であり、為替や時期、プラン、決済種別により変動します。ここから広告費・送料の一部負担・返品対応コストが差し引かれるため、手残り利益率はおおむね20〜30%前後になります。利益率を引き上げる手段は「販売価格を上げる」「リピートを増やす」「単価の高い商品を組み合わせる」の3つに集約されます。

【動画で見る】SOLSTARのShopify構築講座(Printful実装パート含む)

文章だけでは伝わりにくいShopifyの設定画面の動きや、Printfulとの連携手順は、SOLSTARが公開しているYouTube講座で実演しています。実際の操作を見ながら手を動かしたい方は、動画と本記事を並行して進めるのが効率的です。

動画ではShopify構築の全工程を初心者向けに解説しており、その中でPrintfulを使った無在庫販売(POD)の実装パートも取り上げています。設定でつまずいた場合や、自分のストアに合わせたカスタマイズを相談したい場合は、SOLSTARの無料相談もご活用ください。


5. メリット・デメリットと向いている人

無在庫販売の最大の魅力は「在庫リスクを取らずに始められる」点ですが、利点はそれだけではありません。逆に、見落とされがちな弱点もあります。両面を理解したうえで、自分の状況に合うかを判断してください。

メリット(初期投資ほぼゼロ/テスト販売向き)

  • 仕入れ・倉庫・出荷の業務を外部化できるため、ひとりでも運営できる
  • 商品が売れたあとに仕入れが発生するため、在庫リスクを負わない
  • 初期投資はShopify月額費用+ドメイン代+デザインツール程度。10万円以下で始められる
  • 商品ラインナップの入れ替えが容易で、トレンドへの追従が速い
  • 市場性をテストしたあとで本格的な自社在庫モデルへ移行する「踏み台」として機能する

デメリット(利益率の低さ/配送リードタイム/品質コントロール)

  • 仕入価格や手数料の関係で、自社在庫モデルより利益率が低くなりやすい
  • 海外サプライヤー利用時は配送リードタイムが長く、購入者の不満につながる
  • 商品の品質・梱包を自分で確認できないため、不良品リスクの管理が難しい
  • 同じ商品を扱う競合が増えやすく、価格競争に巻き込まれる
  • サプライヤー都合の欠品・廃番が発生し、突然売れなくなる商品が出る

向いている人・向いていない人

次のいずれかに当てはまる方は、ドロップシッピング/PODが選択肢として有効です。

  • 本業や育児と並行して、副業で月数万〜30万円程度の収入を目指したい
  • 在庫・物流の経験がなく、まず小さく試してから判断したい
  • 自分のデザイン・世界観を形にしたい(PODの場合)
  • SNS発信が苦にならない、または発信に挑戦したい

逆に「短期間で大きな利益を確実に出したい」「商品の品質を細部までコントロールしたい」「価格競争には絶対関わりたくない」という方は、自社在庫モデルや受託製造モデルの方が向いています。


6. 必要な知識・スキルと事前準備

ドロップシッピングは「誰でも今日始められる」と紹介されることが多いですが、続けて利益を出すには次の5つを順に身につける必要があります。

商品リサーチと選定眼(売れ筋の見極め)

売れる商品は時期・トレンド・季節で変わります。AliExpressやAmazonランキング、SNSの広告投稿、Googleトレンドなどを定点観測し、需要が伸びている商品を仮説立てして選びます。「自分が欲しい商品」だけでは需要を読めません。客観データと自分の興味を半々で組み合わせる感覚が大切です。

マーケティング(SNS/SEO/広告)の基礎

商品をストアに並べただけでは売れません。集客チャネルは大きく分けて3つです。

  • SNS(Instagram・X・TikTok):ターゲット層に合わせて使い分ける。世界観の発信に強い
  • SEO(検索エンジン経由):時間はかかるが資産になる。商品説明・ブログ記事の質が鍵
  • 広告(Meta・Google):即効性はあるが赤字を出しやすい。利益率の試算が必須

利益率と原価計算の考え方

「いくらで売れたか」より「1注文あたりいくら手元に残ったか」が事業の生命線です。販売価格・仕入価格・送料・決済手数料・広告費を1注文単位で把握する習慣をつけてください。Shopifyの「分析」機能、Googleスプレッドシートでの簡易シミュレーションだけでも、感覚的な経営から数字ベースの経営に変わります。

カスタマーサポート(配送遅延・返品対応)

ドロップシッピングで最も多いクレームは「商品がいつ届くかわからない」「届いた商品の品質が思っていたものと違う」の2点です。自動返信メールに配送日数の目安を入れる、商品ページに注意書きを置く、返品ポリシーを明文化する、といった対策で大半は防げます。それでも個別対応が必要な場面は出てくるため、対応用のテンプレート文を準備しておくと負荷が下がります。

品質管理(サンプル発注の重要性)

本格販売の前に、自分自身で商品を1点ずつ注文するのが鉄則です。プリントの発色、生地の質感、梱包の状態、配送日数。実物を見ずに販売すると、購入者から指摘されて初めて欠点に気付くことになります。サンプル1点の費用は、後のクレーム対応コストに比べれば極めて安い投資です。


7. 知らないと危険!法律・税金・著作権の注意点

ドロップシッピングは「在庫を持たないだけで、立派な小売業」です。商品を販売する以上、一般のECサイトと同じ法律が適用されます。下記は最低限押さえてほしいポイントで、実務上の判断は弁護士・税理士など専門家への相談を前提にしてください。

特定商取引法に基づく表記

通信販売を行うすべての事業者には、事業者名・住所・電話番号・販売価格・支払方法・引渡時期・返品ルールなどを明示する義務があります。Shopifyの管理画面には特商法表記のひな型が用意されていますが、ドロップシッピング特有の論点として「配送までの日数」を実態に沿って記載する必要があります。海外サプライヤー利用時に「3日でお届け」と書くと、実態と乖離して特商法違反に問われる恐れがあります。詳細な要件は消費者庁・特定商取引法ガイドを確認してください。

景品表示法(優良誤認・有利誤認の禁止)

「絶対に効く」「最安値」「業界No.1」などの根拠のない表現は、景品表示法違反となる可能性があります。サプライヤーの商品ページの説明文をそのままコピーして使うと、誇大表現が紛れ込んでいることが多いため、必ず自分の言葉で書き直してください。比較・優位性を訴求する場合は客観的な根拠を添えます。

製造物責任法(PL法)と販売者責任

PL法は製造物の欠陥で消費者に損害が生じた場合の責任を定めた法律です。輸入品を扱う場合、輸入者である販売者が製造業者と同等の責任を負うケースがあります。海外サプライヤーから直送される商品は実質的に販売者が輸入者となるため、PL保険への加入や利用規約での免責範囲の整理を検討してください。

著作権・商標権(PODデザインで特に重要)

PODでは「自分でデザインしたつもり」が他者の著作権・商標権を侵害していることがあります。具体的には、有名キャラクター・芸能人の写真・他社ロゴ・著名作品のパロディなど。フリー素材を使う場合も商用利用可否・改変可否を必ず確認してください。販売差し止め・損害賠償・刑事罰のリスクがあります。

税金(確定申告/海外サプライヤー利用時の関税・消費税)

個人で副業として行う場合、年間の所得(売上−経費)が20万円を超えると確定申告が必要です。法人・個人事業主の場合は規模に応じて消費税の課税事業者該当判定もあります。海外サプライヤーから商品を直送する場合は関税・輸入消費税の扱いが複雑になるため、税理士に早めに相談しておくのが安心です。

これらは「読めば終わり」ではなく、ストアを公開する前に1つずつチェックリスト化して解消する作業です。SOLSTARでは構築支援の段階で法務ページの整備・特商法表記のレビューもサポートしているので、公開前に専門家の目を入れたい場合はお気軽にご相談ください。


8. よくある失敗と成功させるためのコツ

SOLSTARが日々お客様と接する中で見えてきた、ドロップシッピング/POD初期に共通して起こる失敗パターンと、それを回避する具体策をまとめます。

失敗例1:配送日数を明記せずクレーム多発

海外サプライヤー経由で2〜3週間かかる商品なのに、配送日数を商品ページに書かなかった結果、購入者から「いつ届くんですか」「キャンセルしたい」と問い合わせが殺到するケースです。商品ページの目立つ場所と、購入完了メール、特商法ページの3か所に同じ配送目安を書くだけで、問い合わせは大幅に減ります。

失敗例2:利益率が薄すぎて広告を回せない

販売価格と仕入価格の差額だけを利益と勘違いし、広告を回した瞬間に赤字に転落するパターン。最低でも「販売価格の30%以上」の粗利を確保しないと、有料広告で売上を伸ばす余地が生まれません。最初に試算→販売価格を設計→集客の順で考えるのが基本です。

失敗例3:競合と同じ商品・同じ写真で埋もれる

同じサプライヤーから誰でも仕入れられる以上、画像・説明文をそのまま使うと差別化要素がゼロになります。商品写真の追加撮影、ブランドストーリーの執筆、使い方提案など、自分の言葉で価値を再構築する一手間がストア全体の説得力を変えます。

成功させる3つのコツ

  • 差別化:商品ではなく「コンセプト」と「世界観」で勝負する。ターゲットの解像度を上げ、ストアと商品ページの世界観をそろえる
  • テスト販売:1商品ずつ広告で反応を見て、勝ち筋が見えた商品に集中投下する
  • データ計測:Shopify分析・GA4で、流入元・離脱ポイント・購入単価を週次で見る。感覚で運営しない

9. まとめ:在庫ゼロから始め、軌道に乗ったら本格ECへ

在庫ゼロからShopifyの本格ECへ成長するイメージ

ドロップシッピングとPODは、在庫リスクを取らずにEC事業を立ち上げられる優秀な入り口です。一方で、利益率の薄さ・配送リードタイム・法務リスク・競合の多さといった弱点もあり、長期で勝ち続けるには戦略が要ります。最初の3〜6か月は「市場性のテスト期間」と割り切り、データを取りながら勝ち筋を探すのが現実的な進め方です。

軌道に乗ったら、利益率を上げるために自社在庫モデルや独自ブランドへの移行を検討してください。Shopifyは月額制で柔軟にスケールできるため、ドロップシッピング/PODの段階で蓄積した顧客データ・SNSフォロワー・ブランド資産を、そのまま本格ECに引き継げます。

「自分のストアを公開前に第三者の目で見てもらいたい」「特商法表記やテーマのカスタマイズで詰まっている」「将来的に独自ブランドの本格EC構築まで一緒に伴走してくれるパートナーを探している」——そんな場合は、SOLSTARの伴走型サポートをご検討ください。Shopify Basicプランから本格的なPlus環境まで、貴店舗のフェーズに合わせて構築・運用をワンストップでお手伝いします。

(執筆:島袋隼/株式会社SOLSTAR 代表取締役。米サンディエゴ州立大学 経済学部(Economics)卒。Shopify専門のECパートナーとして、ストア構築から運用・改善まで一気通貫で支援しています。)

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著者プロフィール

島袋 隼(しまぶくろ しゅん)|株式会社SOLSTAR 代表取締役

San Diego State University 経済学部卒。

EC業界で9年以上にわたり、Shopifyを中心としたECサイトの構築・運用支援に従事。これまでに、開発費10億円超の大規模ECサイト開発支援や、年間売上60億円以上のShopify Plusサイトのリニューアル構築・長期運用支援に携わる。

株式会社SOLSTARでは、Shopifyアカデミー認定資格(開発・運営・B2B販売戦略)を取得。ブランドの世界観を大切にしながら、成長フェーズに応じたECサイト構築、Shopify移行、CRM設計、越境EC支援を行っている。

ShopifyやECサイト運営に関する情報を中心に、売上向上や運用改善に役立つノウハウを発信。

関連リンク:SOLSTARについてYouTube

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