売れないECサイトには理由がある|CVRを上げる購買心理9つの法則

売れないECサイトには理由がある|CVRを上げる購買心理9つの法則
島袋隼

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ナレーター: 島袋隼

10億円規模のECプロジェクトでPMを経験。Shopifyアカデミー3種資格を保持し、元陸上自衛隊(6年勤務)・San Diego State University経済学部卒。趣味はDJで、HiphopとR&Bを中心にプレイしています。

最終更新日:2026年7月6日

※この記事は、EC業界で9年以上にわたり、Shopifyを活用したECサイトの構築・運用支援に携わる株式会社SOLSTAR代表取締役・島袋隼が監修しています。

「広告費をかけているのに売上が伸びない」「アクセス数はあるのに購入につながらない」と悩んでいないでしょうか。売上が伸びない原因を特定しないまま、広告やデザインを変更しても、期待した成果につながらないことがあります。まず必要なのは、売上を「訪問数・CVR・客単価」に分解し、購入までのどこで離脱が起きているかを確認することです。

本記事では、ファーストビューから決済までを9項目で自己診断し、「影響範囲・離脱の大きさ・改善のしやすさ」の3つの視点から着手順を決める方法を解説します。単に改善項目を紹介するだけでなく、確認すべき数値、改善後の効果測定、Shopifyで自分で対応できる範囲と開発が必要になるケースまで整理しました。

一定のアクセスはあるものの売上が伸びないEC担当者や、自社サイトのどこから改善すべきか判断したい方におすすめの記事です。

この記事でわかること

  • CVRの計算方法と自社の立ち位置の把握方法
  • 売上が伸びない原因を、訪問数・CVR・客単価に分けて考える方法
  • 9つの視点で確認するECサイトのCVR改善チェックリスト
  • チェック結果から改善の優先順位を決める方法
  • Shopifyで自分で対応できる範囲と、開発が必要な範囲

1. ECサイトのCVR(コンバージョン率)とは?計算方法と目安

CVR(コンバージョン率)とは、ECサイトへの訪問のうち、実際に商品購入につながった割合を示す指標です。

「アクセスはあるのに売れない」という場合は、商品を知ってから購入を完了するまでの導線に、何らかの問題がある可能性があります。

改善を始める前に、まずCVRの計算方法と自社サイトの現在地を把握しておきましょう。

CVRの計算式と基本の考え方

CVRは、基本的に次の式で計算します。

CVR(%)=購入につながった訪問数 ÷ 全体の訪問数 × 100

例えば、1か月に10,000回の訪問があり、そのうち150回の訪問で購入が完了した場合、CVRは1.5%です。管理画面やアクセス解析ツールによっては、訪問数が「セッション数」と表示されることがあります。言葉は少し難しく見えますが、ここでは「サイトへの訪問回数」と考えれば問題ありません。

重要なのは、自社サイトの現在地を数値で把握することです。

「最近売れていない気がする」「アクセスは増えているのに成果が出ていない」といった感覚だけでは、集客に問題があるのか、購入導線に問題があるのかを正しく判断できません。

まずは、利用しているアクセス解析ツールやECサイトの管理画面で、直近1〜3か月のCVRを確認してください。

なお、ツールによって訪問や購入の集計方法が異なるため、数値が完全には一致しないことがあります。改善前後を比較するときは、同じツール・同じ指標・同じ集計条件で推移を見ることが大切です。Shopifyと外部のアクセス解析ツールでも、計測条件の違いによって数値に差が生じることがあります。

業界・商材別のCVR平均値の目安

経済産業省の「令和6年度電子商取引に関する市場調査」では、市場規模やEC化率は公表されていますが、ECサイトのCVRを業界別に比較できる公的な統計は示されていません。

民間の調査や解説では、ECサイトのCVRは2〜3%前後が一つの参考値として紹介されることがあります。ただし、商品の単価、購入頻度、検討期間、流入元などによって大きく変わります。

例えば、高額商品や購入までの検討期間が長い商材は、CVRが低くなりやすい傾向があります。一方、日用品や消耗品など、購入頻度が高い商材はCVRが高くなりやすいと考えられます。

そのため、一般的な平均値だけで自社サイトの良し悪しを判断するのは適切ではありません。

自社のCVRを評価するときは、次の順番で比較してください。

  • 自社の過去のCVR
  • 前年の同じ時期
  • スマートフォンとPC
  • 広告、自然検索、SNSなどの流入経路
  • 新規訪問者とリピーター

「平均より低いから問題」と考えるのではなく、いつから、どの条件で数値が悪化しているかを確認することが重要です。

自社のCVRを算出し、過去の推移と比較する

まずは直近30〜90日のCVRを確認し、次の期間と比較します。

  • その前の同じ日数
  • 前年の同じ時期
  • セールや広告配信の条件が近い期間

季節、キャンペーン、広告予算などが大きく異なる期間を比較すると、サイト改善による変化なのか、集客条件による変化なのかを判断しにくくなります。

全体のCVRを確認した後は、スマートフォンとPC、流入経路、ランディングページ、商品カテゴリなどに分けて見てください。

全体では大きな変化がなくても、「広告から訪れた人だけCVRが低い」「スマートフォンだけ購入完了率が低い」といった問題が見つかる場合があります。


2. 売上が伸びない原因は、訪問数・CVR・客単価に分けて考える

「売上が伸びない」という悩みは、そのままでは具体的な対策につながりません。まずは売上を構成する3つの要素に分け、どこに問題があるのかを切り分ける必要があります。

売上を分解する式(訪問数×CVR×客単価)

ECサイトの売上は、次の式で考えられます。

売上=訪問数 × CVR(購入率)× 客単価(平均注文額)

売上が停滞しているとき、この3つの数値を同じ期間で並べて確認してください。

ECサイト売上を訪問数・CVR・客単価に分解する図
症状 疑うべき要素 主な打ち手
訪問数は変わらないが購入件数が減った CVR 商品ページ、カート、決済などの改善
訪問数自体が減っている 集客 広告、SEO、SNSなどの見直し
購入件数は変わらないが売上額が減った 客単価 セット販売、クロスセル、商品構成、価格の見直し

例えば、CVRが低い状態で広告費を増やしても、訪問数が増えるだけで、広告費用対効果が悪化する可能性があります。

反対に、CVRが高くても訪問数が少なければ、売上に与える効果は限られます。

アクセス解析ツールで3つの数値を切り分ける

まず、同じ期間の次の数値を確認します。

  • 訪問数
  • CVR
  • 客単価
  • 購入件数
  • 売上額

次に、以下の条件で数値を分けてください。

  • スマートフォンとPC
  • 広告、自然検索、SNS、ダイレクトなどの流入経路
  • 新規訪問者とリピーター
  • ランディングページ
  • 商品または商品カテゴリ

全体のCVRが下がっていても、実際には特定の広告やデバイスだけが原因になっている場合があります。

全体平均だけを見るのではなく、条件ごとの差を確認することで、改善対象を絞り込みやすくなります。

本記事が扱うのは「CVR」に問題があるケース

本記事では、訪問数が一定数あるにもかかわらず、購入につながっていないECサイトを対象に、CVRが伸びない原因を診断します。

訪問数自体が減っている場合は、広告、SEO、SNSなど、集客施策の見直しが先に必要です。

客単価が下がっている場合は、セット販売、クロスセル、価格設定、商品構成などを確認してください。


3. CVRが伸びない典型パターン|工程別に見る離脱の起きやすい場所

CVRが伸びない原因は、一つとは限りません。

入口、比較検討、カート、決済など、複数の工程で小さな使いにくさや不安が重なり、サイト全体のCVRを下げている場合があります。

次章のチェックリストに入る前に、訪問者が購入に至るまでの流れを「入口」「比較検討」「購入直前」「デバイス・表示環境」の4つに分けて整理します。

ECサイトの購入ファネルと離脱が起きやすい工程の図

入口(ファーストビュー・カテゴリページ)で離脱するケース

ファーストビューでは、見た目の良し悪しだけでなく、流入元の訴求とページの内容が一致しているかを確認します。

例えば、広告で「初回送料無料」を訴求しているにもかかわらず、遷移先で送料無料の条件が見つからなければ、訪問者は期待していた情報がないと判断する可能性があります。

カテゴリページや一覧ページでは、商品数が多いほど、絞り込み、並び替え、カテゴリ分けなどの探しやすさが重要です。

商品ページへ進む前の段階で迷わせていないか、目的の商品へスムーズにたどり着けるかを確認してください。

比較検討(商品ページ・レビュー)で離脱するケース

商品ページまでたどり着いた後の離脱は、商品情報の不足や、購入に対する不安を解消できていないことが主な原因です。

例えば、写真だけではサイズ感や使用イメージがわからない、素材や仕様が十分に説明されていない、送料や返品条件が見つからないといった状態では、訪問者は購入を決めきれません。

また、レビューや運営会社情報などの信頼材料が不足していると、「ほかのサイトでも確認しよう」という比較行動につながり、そのまま戻ってこない可能性があります。

商品ページでは、商品の魅力を伝えるだけでなく、購入前に生じやすい次のような疑問や不安に先回りして答えることが重要です。

  • 自分に合うサイズや仕様か
  • 実際に使用するとどのように見えるか
  • 品質や耐久性に問題はないか
  • 送料はいくらかかるか
  • 返品や交換はできるか
  • ほかの購入者はどのように評価しているか

商品ページからカートに追加される割合が低い場合は、商品の魅力不足と決めつけず、情報不足や不安の残り方に問題がないかを確認してください。

購入直前(カート・決済)で離脱するケース=カゴ落ち

カートに商品を入れた後に購入されない「カゴ落ち」は、CVR改善で優先的に確認したいポイントです。

Baymard Instituteが50件の調査を集計したデータでは、平均カート放棄率は70.22%です。カートを買い物リストのように利用している人などを除いた主な離脱理由として、次の項目が報告されています。

  • 送料、税金、手数料などの追加費用が高い:39%
  • 配送が遅い:21%
  • クレジットカード情報を入力することに不安がある:19%
  • アカウントの作成を求められた:19%
  • 購入手続きが長い、または複雑:18%
  • 合計金額を事前に確認できない:14%

国内でも、イー・エージェンシーが2025年のサービス利用データを集計した調査では、月商500万円以上のECサイト延べ4,374件の平均カゴ落ち率が62.9%と報告されています。

調査によって数値や算出方法は異なりますが、送料や手数料の透明性、サイトへの信頼、入力の手間を優先的に確認する必要があります。

デバイス起因(スマホUI・表示速度)で離脱するケース

経済産業省の調査では、2024年の物販系BtoC-EC市場規模のうち、スマートフォン経由の取引額が61.7%を占めています。

これは訪問者数ではなく、取引額を基準とした割合ですが、ECサイトにおいてスマートフォンでの購入体験が重要であることを示しています。

自社サイトでは、スマートフォンとPCの訪問数だけでなく、次の数値をデバイス別に比較してください。

  • 商品ページからのカート追加率
  • カートから購入手続きへの到達率
  • 購入手続きの完了率
  • CVR
  • 客単価

スマートフォンだけCVRが低い場合は、表示速度、文字サイズ、ボタンの押しやすさ、フォーム入力、固定CTAなど、スマートフォン固有の問題を重点的に確認します。


4. 【自己診断】ECサイトCVR改善チェックリスト9項目

ここからは、これまで整理した離脱ポイントを、実際に確認できる9つの診断項目に分けて紹介します。

見た目だけで「できている」と判断するのではなく、可能な範囲で各工程の数値も確認してください。

ECサイトCVR改善の9項目チェックリスト図
No. 診断項目 主な確認内容 確認したい指標
① ファーストビュー 主な訴求、流入元との一致、CTA ランディングページ別CVR
② 商品ページ 写真、説明、不安の解消 カート追加率
③ カテゴリ・一覧ページ 絞り込み、並び替え、探しやすさ 商品ページへの遷移率
④ レビュー・信頼性 評価、件数、運営情報、返品条件 商品ページのCVR
⑤ 送料表示 金額、条件、確定するタイミング カート到達後の離脱率
⑥ CTA 文言、視認性、配置 CTAクリック率
⑦ カート 合計金額、変更操作、ゲスト購入 購入手続きへの到達率
⑧ 決済 決済手段、入力負荷、エラー表示 購入手続きの完了率
⑨ スマホUI・表示速度 操作性、速度、レイアウト スマートフォンのCVR

数値を十分に取得できていない場合は、まずスマートフォンの実機で、商品を探すところから購入完了まで操作してみてください。

チェックが付かなかった項目が複数ある場合も、すべてを一度に直す必要はありません。離脱が大きい工程から詳しく確認します。

①ファーストビュー

スクロールせずに見える範囲で、次の3点が短時間で理解できるかを確認します。

  • 何を扱っているECサイトか
  • 商品やブランドの主な特徴は何か
  • 次にどのボタンを押せばよいか

「3秒で伝わるか」という感覚的な確認だけでなく、広告や検索結果で伝えている内容と、遷移先のページが一致しているかも確認してください。

広告で送料無料や限定商品を訴求している場合は、遷移先でも同じ情報をすぐに確認できる状態にします。

ロゴやイメージ画像だけで画面を埋めず、主な訴求とCTAを近い位置に配置することが重要です。

導線設計の心理的な背景については、「ECサイトの購買心理学|CVRを上げる売れる導線9の法則【保存版】」で詳しく解説しています。

②商品ページ

商品ページでは、商品の魅力を伝えるだけでなく、購入前の疑問や不安を解消できているかを確認します。

主なチェックポイントは次のとおりです。

  • 正面写真だけでなく、使用シーンや細部がわかる写真があるか
  • サイズ感や大きさを比較できる情報があるか
  • 素材、仕様、機能などが明記されているか
  • 利用方法やお手入れ方法がわかるか
  • 送料、配送日、返品・交換条件を確認しやすいか
  • サイズ感、耐久性、使い方など、購入前に生じやすい不安に答えているか

例えば、アパレルであれば着用画像や身長別のサイズ情報、家具であれば設置イメージや寸法、食品であれば内容量や保存方法など、商材に応じて必要な情報は異なります。

訪問者が商品ページを見ても判断できず、「ほかのサイトでも調べてみよう」と感じた時点で、比較検討の機会を一度失っていると考えてください。

商品ページからカートに追加される割合が低い場合は、商品の魅力そのものだけでなく、購入を判断するための情報が不足していないかを確認することが重要です。

③カテゴリページ・一覧ページ

カテゴリページや商品一覧ページでは、訪問者が目的の商品を見つけやすい状態になっているかを確認します。

主なチェックポイントは次のとおりです。

  • サイズ、色、価格帯などで絞り込めるか
  • 価格順、新着順、人気順などに並び替えられるか
  • 商品画像、価格、主な特徴を一覧上で比較できるか
  • パンくずリストなどで現在地がわかるか
  • 商品が0件になる絞り込み条件や、わかりにくいカテゴリ名がないか
  • スマートフォンでも絞り込みや並び替えを操作しやすいか

カテゴリページは商品ページほど注目されにくいものの、商品を比較するための重要な中間地点です。

特にアパレル、家具、雑貨など商品点数が多いECサイトでは、すべての商品を順番に見なければ目的の商品を探せない状態だと、商品ページへ進む前に離脱される可能性があります。

商品ページへの遷移率が低い場合は、商品自体に魅力がないと判断する前に、カテゴリの分け方、絞り込み条件、商品カードの情報量に問題がないかを確認してください。

④レビュー・信頼性の見せ方

ラクスが2025年にEC利用者1,053人を対象に実施した調査では、レビューや口コミを「とても参考にする」と回答した人が38.1%、「やや参考にする」が48.3%で、合計86.4%でした。

また、販売者の対応について否定的なレビューを見た場合、48.0%が購入を控えると回答しています。

レビューは商品の評価だけでなく、購入後の対応や返品・交換への安心感にも影響します。

次の点を確認してください。

  • 商品名や価格の近くに星評価とレビュー件数があるか
  • サイズ感や使用環境がわかる具体的なレビューがあるか
  • 良かった点だけでなく、気になった点も確認できるか
  • 購入者によるレビューであることがわかるか
  • 返品・交換条件や問い合わせ方法を確認しやすいか

Spiegel Research Centerの調査では、レビューが5件ある商品は、レビューがない商品と比べて購入される可能性が270%高くなりました。また、購入される可能性は星評価4.0〜4.7付近で高くなる傾向が報告されています。

ただし、評価を人為的に高く見せることが目的ではありません。

実際の購入者による具体的な使用感を継続的に集め、購入前の不安を減らすことが重要です。

レビューが少ない立ち上げ期は、掲載許諾を得たSNS投稿、導入事例、運営会社情報、返品・交換条件などを補助的な信頼材料として配置します。

⑤送料表示

送料は、無料か有料かだけでなく、「いつ、どの条件で金額がわかるか」が重要です。

MMD研究所の2023年調査では、ECでの購入経験がある4,270人のうち、送料が原因で購入をあきらめた経験がある人は66.9%でした。

また、送料無料ラインになるように購入金額を調整した経験がある人は69.6%でした。

次の点を確認してください。

  • 商品ページまたはカート投入前に送料の目安を確認できるか
  • 地域、サイズ、温度帯などで送料が変わる条件が明記されているか
  • 送料無料ラインがある場合、「あと○円」をカートで確認できるか
  • 送料、税金、手数料が確定するタイミングがわかるか
  • 返品時の送料を誰が負担するかが明記されているか

消費者庁では「送料無料」表示の見直しに関する取り組みが行われています。「送料当社負担」「商品価格に送料を含む」など、費用負担の仕組みが伝わる表現も検討してください。

送料無料ラインが購買行動に与える心理的な影響については、「価格設定テクニック12選|心理学・行動経済学でEC売上を伸ばす方法」で詳しく解説しています。

⑥CTA(ボタン・マイクロコピー)

CTAとは、「カートに入れる」「購入手続きへ進む」など、訪問者に次の行動を促すボタンや案内文のことです。

主なチェックポイントは次のとおりです。

  • 周囲の背景と十分なコントラストがあるか
  • ボタンを一目で操作できると認識できるか
  • 「送信」などの曖昧な表現ではなく、次の行動がわかる文言になっているか
  • 商品情報を確認した後、自然な位置に表示されているか
  • スマートフォンでも押しやすい大きさになっているか
  • 売り切れや選択漏れなど、購入できない理由がわかりやすく表示されるか

CTAは目立たせるだけでなく、押した後に何が起こるかを明確にすることが重要です。

例えば、商品ページでは「カートに入れる」、カートでは「購入手続きへ進む」のように、実際の動作と文言を一致させます。必要以上に「今すぐ」「残りわずか」といった表現を重ねると、かえって不信感につながることもあります。

CTAのクリック率やカート追加率が低い場合は、色だけを変更するのではなく、商品情報の不足、ボタンの位置、文言、在庫やバリエーションの選択方法まで含めて確認してください。

ボタン配置や訴求の順番など、導線設計全体の考え方は、「ECサイトの購買心理学|CVRを上げる売れる導線9の法則【保存版】」でも詳しく解説しています。

⑦カート

カートでは、次の点を確認します。

  • 数量変更や商品の削除をすぐに行えるか
  • 選択したサイズ、色、購入プランなどを確認できるか
  • 適用中の割引やクーポンがわかるか
  • 送料の目安や送料無料条件を確認できるか
  • 合計金額がわかりやすく表示されているか
  • 会員登録を必須にせず、ゲスト購入へ進めるか

配送先が確定するまで、正確な送料を算出できない場合もあります。

その場合は、無理に確定金額を早く表示するのではなく、「何が未確定で、どの段階で金額が確定するのか」を明記することが重要です。

⑧決済

決済では、選択肢を増やすこと自体を目的にせず、自社の顧客が利用する決済手段を不足なく用意し、迷わず購入を完了できる状態を目指します。

次の点を確認してください。

  • 顧客がよく利用する決済手段を用意できているか
  • 住所や決済情報の入力項目が必要以上に多くないか
  • 入力エラーの原因と修正箇所がわかるか
  • 送料、税金、手数料を含む最終金額を注文確定前に確認できるか
  • スマートフォンで住所やカード情報を入力しやすいか
  • 一度入力した内容が、エラーによってすべて消えないか

決済手段は、クレジットカード、スマートフォン決済、後払いなどを無条件に増やすのではなく、顧客層や実際の利用状況を見て判断してください。

⑨スマホUI・表示速度

表示速度は「3秒以内」といった一つの秒数だけで判断せず、PageSpeed Insightsなどを使ってCore Web Vitalsも確認します。

Googleが「良好」とする主な目安は次のとおりです。

  • LCP:2.5秒以内
  • INP:200ミリ秒以内
  • CLS:0.1以下

これらは、実際のユーザーによるページ表示の75パーセンタイル値を基準に評価されます。

トップページだけでなく、商品ページ、カテゴリページ、カートなど、購入導線上の主要なページを確認してください。

あわせて、スマートフォンの実機で次の点を確認します。

  • 拡大しなくても文字や価格を読めるか
  • CTAや数量変更ボタンを押し間違えにくいか
  • 追従CTAが画面を占有しすぎていないか
  • 画像スライダーやポップアップが操作を妨げていないか
  • キーボード表示時に入力欄やエラー文が隠れないか
  • ページ表示中のレイアウト移動によって誤タップが起きないか

スマートフォンでの使いにくさは、ファーストビューから決済まで、ほぼすべての工程に影響します。


5. チェック結果から見る改善の優先順位の付け方

チェックが付かなかった項目が複数ある場合、すべてを一度に直す必要はありません。

自社サイトの数値と実装に必要な負担をもとに、優先順位を決めます。

「影響範囲×離脱の大きさ×改善のしやすさ」で判断する

改善項目は、次の3つの視点で評価します。

CVR改善施策の優先順位を決めるマトリクス図
  • 影響範囲:そのページや工程を利用する人がどの程度いるか
  • 離脱の大きさ:前後の工程でどの程度ユーザーが減っているか
  • 改善のしやすさ:必要な工数、費用、開発リスクはどの程度か

簡易的に点数化する場合は、それぞれを1〜3点で評価します。

例えば、カートから購入手続きへの到達率が低く、送料表示の修正を管理画面の設定だけで対応できる場合は、優先度の高い改善候補です。

一方、カテゴリページの高度な絞り込み機能は影響範囲が大きくても、設計や開発に時間がかかるため、中長期の改善として計画します。

購入直前だけでなく、実際に離脱が大きい工程を優先する

一般的には、カートや決済など購入直前の離脱は、売上への影響が大きくなりやすい工程です。

ただし、すべてのECサイトで決済を最優先にすべきとは限りません。

例えば、商品ページからカートに追加される割合が極端に低い場合、決済を改善しても、そこまで到達する人が少ないため効果は限定されます。

次の順番で確認してください。

  1. 商品ページからのカート追加率
  2. カートから購入手続きへの到達率
  3. 購入手続きの完了率
  4. 最も落ち込みが大きい工程
  5. その工程で短期間に修正できる項目

「購入に近い工程だから」という理由だけで決めず、実際の数値と改善のしやすさを組み合わせて判断することが重要です。

改善後は、変更内容と判定条件を決めて検証する

改善は一度に複数行わず、原則として一つの仮説、または関連する一組の変更ごとに検証します。

施策を始める前に、次の内容を記録してください。

  • 改善するページと箇所
  • 想定している離脱原因
  • 実施する変更
  • 確認する指標
  • 改善と判断する条件
  • 比較する期間

十分な訪問数がある場合は、A/Bテストによる同時比較が有効です。

訪問数が少ない場合は、曜日構成、広告配信、セールの有無など、できるだけ条件をそろえた期間で比較します。

単に「数週間経過したから」と判断するのではなく、比較に必要な訪問数と購入件数が蓄積しているかも確認してください。


6. ShopifyでCVR改善を進める方法|自分で直せる範囲と開発が必要な範囲

ここまでは、ECサイト全般に共通するCVR改善の考え方を解説しました。

Shopifyを利用している場合は、9項目のうち多くをテーマエディタ、管理画面の設定、アプリの導入によって改善できます。

一方、テーマの標準機能を超える表示や、チェックアウトへの機能追加など、開発が必要になるケースもあります。

テーマ編集・管理画面・アプリで対応しやすい項目

Shopifyでは、次の項目は自社で対応できるケースがあります。

ShopifyでCVR改善を自社対応できる範囲と開発が必要な範囲の図
  • ファーストビューの画像や文章の変更
  • セクションの並び替え
  • 商品写真や説明文の追加
  • レビューの表示
  • 送料無料までの金額表示
  • CTAの文言や色の変更
  • カートドロワーの設定
  • 決済方法の有効化
  • チェックアウトのロゴ、色、フォントの変更

ただし、利用できる設定はテーマやアプリによって異なります。

アプリを導入する前に、現在使用しているテーマに同じ機能がないか確認してください。

複数のアプリで同じ機能を追加すると、表示速度の低下、レイアウト崩れ、計測の重複などにつながる可能性があります。

決済では、Shop Payなど、保存された住所や決済情報を使って入力の手間を減らせる仕組みも選択肢になります。

Shopifyは、Shop Payを使用した場合、ゲスト購入と比べて最大50%高いコンバージョンが確認され、選択肢として表示されるだけでも購入直前のコンバージョンが5%高くなったと紹介しています。

ただし、これはShopifyが紹介している外部調査の結果であり、すべてのストアで同じ効果が出るとは限りません。自社の利用率や購入完了率を確認して判断してください。

なお、2025年1月6日以降、ShopifyではAmazon Payの外部サービス連携がサポートされていません。アメリカのストアではShopify Paymentsを通じた提供が可能ですが、日本のストアでは過去の決済方法一覧をそのまま流用せず、現在利用できる選択肢を確認する必要があります。

開発が必要になるケースと外部への相談タイミング

次のような改善は、テーマコードの編集やアプリ開発が必要になることがあります。

  • 独自の条件を使った商品絞り込み
  • テーマ標準機能にない追従CTAやカート機能
  • 複数アプリ間の表示崩れや競合の解消
  • 画像やスクリプトの読み込み方法を含む表示速度改善
  • メタフィールドを使った独自の商品情報表示
  • チェックアウトへの独自機能の追加

Shopifyのチェックアウトは、契約プランによって編集できる範囲が異なります。

ロゴ、色、フォントなどのブランド調整は通常プランでも対応できますが、購入者情報、配送、決済ページにアプリで独自機能を追加できるのはShopify Plusのみです。

自社で対応できる範囲と、開発が必要な範囲を判断できない場合は、実装前に次の点を整理してください。

  • 現在、離脱が大きい工程
  • 管理画面だけで対応できる項目
  • アプリで対応できる項目
  • 開発が必要な項目
  • 費用対効果が高い実施順

制作会社選びで迷う場合は、「Shopify制作会社の選び方」も参考にしてください。

Shopifyの活用事例については、「【2026年版】Shopify事例18選|国内外の導入事例から学ぶECサイト構築のヒント」で紹介しています。


よくある質問

Q. ECサイトの平均CVRはどのくらいですか?

民間の調査や解説では、2〜3%前後が一つの目安として紹介されることがあります。

ただし、商品の単価、購入頻度、検討期間、流入元によって大きく変わるため、平均値だけで判断するのは適切ではありません。

まずは自社の過去のCVR、前年同時期、デバイス別、流入経路別の数値と比較してください。

Q. ShopifyとGA4では、どちらのCVRを基準にすべきですか?

Shopifyストアの売上や購入ファネルを確認する場合は、Shopifyのストア分析を一つの基準にすると整理しやすくなります。

GA4は、流入経路、ランディングページ、ページ内の行動などを詳しく分析する用途に適しています。

セッションや購入の集計方法が異なるため、ShopifyとGA4の数値を直接比較するのではなく、それぞれのツール内で過去との推移を確認してください。

Q. チェックリストで複数の問題が見つかった場合、何から着手すべきですか?

まず、カート追加率、購入手続きへの到達率、購入手続きの完了率を確認し、最も離脱が大きい工程を特定してください。

そのうえで、影響範囲が広く、短期間で改善できる項目から着手します。

複数の項目を同時に変更すると、どの施策が数値に影響したのか判断しにくくなるため、一つの仮説または関連する一組の変更に絞ることが重要です。

Q. アクセス数が少なくてもA/Bテストはできますか?

アクセス数や購入件数が少ない場合、A/Bテストで明確な差を確認するまでに長い期間が必要になります。

その場合は、スマートフォン実機での購入テスト、ヒートマップ、問い合わせ内容、ユーザーインタビューなどの情報も組み合わせて、改善仮説を立ててください。

Q. Shopifyの通常プランでもチェックアウトを変更できますか?

通常プランでも、ロゴ、色、フォントなど、チェックアウトの見た目をブランドに合わせて調整できます。

一方、購入者情報、配送、決済ページにアプリで独自機能を追加できるのはShopify Plusのみです。

変更したい内容によって対応範囲が異なるため、実装前に現在のプランとShopifyの仕様を確認してください。


まとめ

ECサイトのCVR改善では、9項目をすべて同時に直す必要はありません。

まずは、次の順番で進めてください。

  1. 売上を「訪問数・CVR・客単価」に分解する
  2. カート追加率、購入手続きへの到達率、購入完了率を確認する
  3. 最も離脱が大きい工程を特定する
  4. 影響範囲と改善のしやすさから施策を選ぶ
  5. 改善前後の数値を同じ条件で比較する

ファーストビュー、商品ページ、カテゴリページ、レビュー、送料表示、CTA、カート、決済、スマホUI・表示速度の9項目は、改善案を見つけるためのチェックリストです。

最終的な優先順位は、一般的な成功事例ではなく、自社サイトの数値をもとに決めてください。

まずは、利用しているアクセス解析ツールやECサイトの管理画面を開き、スマートフォンで商品ページから購入完了まで実際に操作してみましょう。

数値上の離脱と、実際に操作して感じた使いにくさが同じ工程にある場合は、優先度の高い改善候補です。

チェックの結果、開発が必要な項目が複数見つかった場合や、どの施策から進めれば費用対効果が高いか判断できない場合は、ECサイトの構築・運用に詳しい専門家へ相談する方法もあります。

SOLSTARでは、Shopifyを活用したECサイトの設計、構築、移行、運用改善を支援しています。

自社ECサイトの診断結果をもとに、具体的な改善の進め方を相談したい方は、無料相談窓口からお問い合わせください。


参考文献

著者プロフィール

島袋 隼(しまぶくろ しゅん)|株式会社SOLSTAR 代表取締役

San Diego State University 経済学部卒。

EC業界で9年以上にわたり、Shopifyを中心としたECサイトの構築・運用支援に従事。これまでに、開発費10億円超の大規模ECサイト開発支援や、年間売上60億円以上のShopify Plusサイトのリニューアル構築・長期運用支援に携わる。

株式会社SOLSTARでは、Shopifyアカデミー認定資格(開発・運営・B2B販売戦略)を取得。ブランドの世界観を大切にしながら、成長フェーズに応じたECサイト構築、Shopify移行、CRM設計、越境EC支援を行っている。

ShopifyやECサイト運営に関する情報を中心に、売上向上や運用改善に役立つノウハウを発信。

関連リンク:SOLSTARについて|YouTube

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